高次脳機能障害とは②
高次脳機能障害は身体障害と違って、一見してわからない障害です。ですから、会社や家庭でも気づかれないこともあり、社会的認知度が低いので「静かな障害」といわれることも。 私たちの脳は、どんな最新鋭コンピューターが束になってもかなわないくらいの複雑な能力を持っています。コップをつかんだり、綱渡りをしたり、縄跳びを上手に飛んだりするだけではなく、テレビを見て笑ったり、言葉を使って相手とコミュニケーションをしたり、昨日の出来事を覚えたりするような複雑なことまで脳が関与しているのです。
このような多彩な脳の働きの中で、他の動物達とは違う人間らしい脳の働きを総称して「高次脳機能」と呼びます。分かりやすく表現するならば、「心」をつかさどる脳機能とも言えます。ですから、怪我や病気などで高次脳機能が傷害されると、ぱっと見た感じはふつうなのに、記憶力が落ちていたり、根気が続かなかったり、判断力が低下して、社会生活にうまく適応できなくなることになります。障害の程度によっては本人ですら気づかないこともあり、周りから理解されにくい障害のひとつと言えます。
高次脳機能障害の主な症状・対処法
■ 記憶障害
側頭葉内側の障害により引き起こされる症状。記憶障害には大きく分けて、新しいことを覚えられなくなる「前向性健忘」と、昔のことを思い出せなくなる「逆向性健忘」の2つがあります。 日常生活の中でも約束を守れなくなったり、大切な物をしまった場所を忘れてしまったり、何度も同じことを聞いてしまったりと、日常生活や仕事をする上で深刻な問題を抱えてしまいます。
<記憶障害への対処法>
携帯電話のスケジュール表やカレンダー、アラーム機能などをうまく組み合わせて、重要な要件に気づきやすくしたり、思い出しやすくなるような工夫が必要。また、メモをまめに取ることで記憶しやすくなるという効果もありますが、忘れてしまったことを思い出す手がかりにもなるので、日常習慣にするよう促しましょう。
■ 注意障害
前頭葉や頭頂葉の障害で引き起こされる注意障害。物事に集中して取り組むことができず、ちょっとしたことで気が散ってしまうため、本人が集中できる時間に合わせて、適度な休憩を促すことが必要です。具体的には、会話や思考がとぎれとぎれになり、まとまりのない会話になったり、行動の内容に一貫性がなくなったりします。 与えられた仕事をすぐに放り投げてしまったり、人の話を聞きながらメモを取れなくなったり、ぼーっとしている時間が長くなり、呼びかけてもすぐに反応ができなくなったり、といった症状が見られます。
<注意障害への対処法>
そのような場合は、ひとつの作業をずっと長くやらせるのではなく、いろいろな作業を組み合わせて、興味を持たせ続ける工夫が有効です。そして、同時に複数の作業を与えるのではなく、静かな環境で一つ一つ確実に作業をこなせるようにして、作業が達成したら褒めることが重要です。
■ 遂行機能障害
前頭葉の障害により引き起こされることが多い遂行障害。計画性をもって行動したり、周囲の変化する状況に対応できなくなります。話したり、書いたり、聞いたり、計算したりするなど、一つ一つバラバラな作業をさせても問題がないことが多いのですが、組み合わせてやらせると要領よくできず、作業に支障が出ててしまいます。 思いつきだけで行動してしまい失敗したり、約束の時間を守ることができなくなったり、いつまでも決断できず段取りが悪くなったりといった症状が見られます。
<遂行機能障害への対処法>
毎日の行動をパターン化し、単純な作業から練習させ徐々に行動内容を高度にしていきます。日常生活や仕事内容の段取りをマニュアル化して手順を確認させながら繰り返し練習することにより遂行機能は上達してきます。
■ 社会的行動障害
前頭葉と側頭葉の障害によって引き起こされることが多い社会的行動障害。頻繁に怒鳴り散らすなど、暴力的で子どもじみた行動を起こすことが多いですが、逆に感情を失って無関心になるケースもあります。急に泣き出したと思ったら、急に怒り出したりして、周りを困惑させてしまうこともしばしば。また、欲しいと思ったものを我慢できなくなることもあり、お菓子を食べ続けたり、タバコを繰り返し吸い続けたり、手元のお金がなくなるまで散在してしまったり、といった症状が見られることもあります。
<社会的行動障害への対処法>
無理に説得したりせず、話題を変えたり、場所を変えたりすることが効果的。欲求を抑えられなくなっている場合、家族を始めとする周りの人がチェックリストやメモを利用し、自己管理をうながすようにしましょう。
このような多彩な脳の働きの中で、他の動物達とは違う人間らしい脳の働きを総称して「高次脳機能」と呼びます。分かりやすく表現するならば、「心」をつかさどる脳機能とも言えます。ですから、怪我や病気などで高次脳機能が傷害されると、ぱっと見た感じはふつうなのに、記憶力が落ちていたり、根気が続かなかったり、判断力が低下して、社会生活にうまく適応できなくなることになります。障害の程度によっては本人ですら気づかないこともあり、周りから理解されにくい障害のひとつと言えます。
高次脳機能障害の主な症状・対処法
■ 記憶障害
側頭葉内側の障害により引き起こされる症状。記憶障害には大きく分けて、新しいことを覚えられなくなる「前向性健忘」と、昔のことを思い出せなくなる「逆向性健忘」の2つがあります。 日常生活の中でも約束を守れなくなったり、大切な物をしまった場所を忘れてしまったり、何度も同じことを聞いてしまったりと、日常生活や仕事をする上で深刻な問題を抱えてしまいます。
<記憶障害への対処法>
携帯電話のスケジュール表やカレンダー、アラーム機能などをうまく組み合わせて、重要な要件に気づきやすくしたり、思い出しやすくなるような工夫が必要。また、メモをまめに取ることで記憶しやすくなるという効果もありますが、忘れてしまったことを思い出す手がかりにもなるので、日常習慣にするよう促しましょう。
■ 注意障害
前頭葉や頭頂葉の障害で引き起こされる注意障害。物事に集中して取り組むことができず、ちょっとしたことで気が散ってしまうため、本人が集中できる時間に合わせて、適度な休憩を促すことが必要です。具体的には、会話や思考がとぎれとぎれになり、まとまりのない会話になったり、行動の内容に一貫性がなくなったりします。 与えられた仕事をすぐに放り投げてしまったり、人の話を聞きながらメモを取れなくなったり、ぼーっとしている時間が長くなり、呼びかけてもすぐに反応ができなくなったり、といった症状が見られます。
<注意障害への対処法>
そのような場合は、ひとつの作業をずっと長くやらせるのではなく、いろいろな作業を組み合わせて、興味を持たせ続ける工夫が有効です。そして、同時に複数の作業を与えるのではなく、静かな環境で一つ一つ確実に作業をこなせるようにして、作業が達成したら褒めることが重要です。
■ 遂行機能障害
前頭葉の障害により引き起こされることが多い遂行障害。計画性をもって行動したり、周囲の変化する状況に対応できなくなります。話したり、書いたり、聞いたり、計算したりするなど、一つ一つバラバラな作業をさせても問題がないことが多いのですが、組み合わせてやらせると要領よくできず、作業に支障が出ててしまいます。 思いつきだけで行動してしまい失敗したり、約束の時間を守ることができなくなったり、いつまでも決断できず段取りが悪くなったりといった症状が見られます。
<遂行機能障害への対処法>
毎日の行動をパターン化し、単純な作業から練習させ徐々に行動内容を高度にしていきます。日常生活や仕事内容の段取りをマニュアル化して手順を確認させながら繰り返し練習することにより遂行機能は上達してきます。
■ 社会的行動障害
前頭葉と側頭葉の障害によって引き起こされることが多い社会的行動障害。頻繁に怒鳴り散らすなど、暴力的で子どもじみた行動を起こすことが多いですが、逆に感情を失って無関心になるケースもあります。急に泣き出したと思ったら、急に怒り出したりして、周りを困惑させてしまうこともしばしば。また、欲しいと思ったものを我慢できなくなることもあり、お菓子を食べ続けたり、タバコを繰り返し吸い続けたり、手元のお金がなくなるまで散在してしまったり、といった症状が見られることもあります。
<社会的行動障害への対処法>
無理に説得したりせず、話題を変えたり、場所を変えたりすることが効果的。欲求を抑えられなくなっている場合、家族を始めとする周りの人がチェックリストやメモを利用し、自己管理をうながすようにしましょう。